ずきり、とこめかみが痛んで目が覚める。痛み、というものをだいたい認識する前に私は死んでしまうから、それはとても珍しいことだった。
「……?」
見慣れた天井。
ここ、ロナルド君のソファじゃない?
なんでここで寝てるんだっけ、と思いながら身体を起こそうとする、と、腰から異音がして死んだ。そりゃそうだ。
「ドラルク!?」
「アレっ、ロナルド君いるの? 私なんでここで寝てるんだっけ、ゲームやってて寝落ちちゃったとか? それなら棺桶に運んでくれれば……」
「……、ドラ公、か?」
「うん?」
再生すると、やけに不安そうな顔をしたロナルド君がいた。
「ど、」
うしたの、と言いかけて。
また頭痛だ。それから吐き気。それから、流れ込んでくる映像たち。頭を抱えて蹲ると、彼が慌てて私の肩を掴んだ。
「おい!」
「ッ、う、ん。ごめん、大丈夫……ロナルド君」
「なんだ、親父さん呼ぶ? やっぱり爺さん?」
「好きだよ」
ひゅ、と彼が息を呑む。だけど、だけど。
「君が好きだよ。不安にさせるような私でごめんね。お願いだから、ひとりになんかなろうとしないで」
もう一度彼のくちびるを塞ぐ。
二週間ぶりに味わった口内は、あたたかくて、紅茶の味がした。
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